【家庭教師は確定申告必須?】バイトの契約形態ごとの税金について徹底解説!103万じゃなくて48万の壁?
どうも,ラムシロです。
突然ですがみなさん,確定申告ってしたことありますか?100万の壁とか103万の壁とか130万の壁とか,聞いたことありますか?そしてそれぞれの意味はご存知ですか?
おそらく多くの人が,「なんとなく聞いたことあるけど詳しくは知らない」という状態なのではないでしょうか。
正直税金関連のことってやたらわかりづらいし調べ方もわからないしで知りたくても知ることができないって方が多いんじゃないかと思います。しかし,税金関連の知識をつけることはめちゃくちゃ大事です。
例えば
家庭教師やUberEats配達員,自宅でできる内職や採点バイトでは103万の壁が48万の壁になる可能性が高い
って知っていましたか?知らなかった方は要注意です。知らず知らずのうちに脱税をしてしまっても「知らなかった」で済まされないのが税金の怖いところです。知識がないと本来払わなくていいはずだったお金を取られ,大幅に損をしてしまうことも考えられます。
そうならないためにも最低限の税金の知識をつけるのが大切なのです。
しかし税金のことってどう調べてもわかりづらいものばっかりなんですね。私自身家庭教師をしていて,家庭教師ならではの税金の情報を知りたかったのですがなかなか出てこずに苦労しました。
そこで今回は,私が勉強して知った内容をできるだけわかりやすくまとめていきたいと思います。初心者向けにまとめていくので厳密に言うとちょっと異なるみたいなこともあるかもしれませんが,最初の一歩として全体をつかむために使用することを前提としているためご容赦ください。
また,別記事で年末調整や扶養控除申告書についてもまとめてあるのでぜひご覧ください!
収入と所得の違い
まずは税金全体を知るうえで最も大切な概念「収入」と「所得」について説明していきます。わかりやすさを重視するためざっくり説明すると
収入
1/1~12/31までにバイト先などから貰ったそのままの額のこと
所得
1/1~12/31までに貰った額から様々な控除分を引いた後の額のこと
「所得ってのはいろいろ引き算した後なのね」
っていうぐらいの理解で大丈夫です。
そしてここからがとても大事なのですが,所得税や住民税といった税金は基本的に「所得」にかかります。つまり収入があったとしても引き算した後の所得が1円以上にならなければ課税対象にはならないわけです。まずはここを理解しましょう。
さて,上を理解すると「いろいろ引く分」である「控除」が非常に重要であることがわかると思います。
それでは所得税に関わる控除にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
様々な控除
今の日本では様々な控除が存在しますが,ここでは一般的な大学生バイトが関わる「基礎控除」「給与所得控除」「扶養控除」「勤労学生控除」の4つについて説明していきます。
基礎控除
基礎控除は全ての人が使える控除で,その額は48万円(令和元年までは38万円)です。
つまり全ての人が収入から48万円を引いてから税金を計算していいよってことですね。
給与所得控除
給与所得控除は会社などから給与としてお金を貰っている人が使える控除で,その額は55万円(令和元年までは65万円)です。一般的なアルバイトでは会社と雇用契約を結び,給与としてお金を貰っています。
つまり雇用契約を結んでいるアルバイトでは
基礎控除48万+給与所得控除55万=103万
を収入から引いて良いのです。この103万というのがよく聞く103万の壁の正体です。収入が103万円以下であれば,これらの控除を利用して所得は0円以下になります。すなわち課税対象は0円となり所得税を払わなくて済むわけです。
ですから一般的な雇用契約を結ぶアルバイトをしている方は,この103万を超えないようにすることが重要になります。
ここで,先ほどから「一般的な雇用契約を結ぶアルバイト」といちいち言っているのには理由があって,最近では雇用契約を結ばず業務委託契約という形の契約を結ぶアルバイトが増えているからです。
業務委託契約のアルバイトでは個人事業主として扱われ,給与ではなく報酬としてお金をもらうことになります。そして,この報酬には給与所得控除を使用することができないんですね。
つまり業務委託契約のアルバイトを行っている場合,通常適用される控除は48万円分のみとなり,103万の壁ではなく実質48万の壁となってしまうのです!なんてこった!
しかしご安心ください。これに対する対処法もしっかり後で紹介しますので,ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
ちなみに業務委託契約のアルバイトとして有名なのが一部の家庭教師やUberEats配達員,自宅でできる内職や採点バイトなどです。これらのバイトをしている方は一度自分の雇用形態を確認することを強くオススメします。
扶養控除
扶養控除は子供や親,親族を養っている人が受けることのできる控除で,その額は扶養者の条件によって異なり38~63万円です。一般的な大学生では,親が学生を扶養しており,親に対して扶養控除が適用されています。
じゃあ学生には直接扶養控除って関係ないじゃん!
と思われるかもしれませんが,実は関係大ありなんです。それは,働き過すぎて所得が発生すると親に養ってもらっているとみなされなくなり,親の扶養控除が適用されなくなってしまうからなんですね。これが良く言う「扶養を外れる」というやつです。
ちなみにここがややこしいのですが,扶養には税法上の扶養と社会保険上の扶養の2種類が存在し,それぞれ全く異なるものです。
本記事ではまず税法上の扶養について触れ、後半の「その他の壁」あたりで社会保険上の扶養について触れることとします。したがってとりあえずは税法上の扶養の話をしてるんだなと思って下さい。
さて,学生がバイトのし過ぎで所得が発生すると,親の控除がきかなくなってしまうため,結果として家族全体では大幅に払う税金が増えてしまうことになります。よく言われるのは
「学生は103万を超えないようにしましょう」
ということですが,正確には
「所得を発生させないように注意しましょう」
ということになります。すなわち業務委託契約のアルバイトの方は控除が少ないためより注意しなければならないということです。
また,2018年以降「103万の壁はなくなって150万の壁になった」ということをよく聞きますが,これは扶養家族の中でも「配偶者」に対して受けられる「配偶者控除」についての話なので,学生は変わらず103万の壁が存在することになります。
勤労学生控除
勤労学生控除は以下の条件を満たす者が使える控除で,その額は27万円となっています。
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。
- (1) 給与所得などの勤労による所得があること
- (2) 合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。- (3) 特定の学校の学生、生徒であること
この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
ここで勤労学生控除適用についての注意点があります。(2)の条件なのですが,ここでいう合計所得金額では基礎控除を引くことはできません。
つまり
雇用契約を結んでいるバイト先で働く学生は
①適用条件
収入130万-給与所得控除55万=75万
となるので,収入が130万円までは勤労学生控除が適用可能
②控除額
基礎控除48万+給与所得控除55万+勤労学生控除27万=130万
となり,収入が130万円までは所得が0円となることになります。
一方,業務委託契約のバイトをする学生は
①適用条件
給与所得控除が使えないため,収入が75万円までは勤労学生控除が適用可能
②控除額
基礎控除48万+勤労学生控除27万=75万
となり,収入が75万円までは所得が0円となることになります。
ここででてきた130万円が一般的に130万の壁と呼ばれているものです。業務委託契約の場合75万の壁になってしまうため注意が必要です。
その他の壁,100万/106万/130万の壁
さて,これまでで所得税に関わる103万の壁,130万の壁について説明しました。その他の壁として100万/106万/(もうひとつの)130万の壁があるので合わせてご紹介します。
100万の壁
これは住民税に関する壁です。住民税は所得税と控除の仕組みが若干異なるため収入が100万を超えた辺りで課税の対象になるようです。(ただ,自治体ごとに異なることもあり細かい仕組みは私自身理解できていません。わかった方ぜひコメントで教えてください...すみません...)
106万の壁
こちらは税法上の扶養ではなく社会保険上の扶養に関するものです。社会保険上の扶養では所得という概念は取り入れず,全て収入をベースにして考えます。
そして106万の壁は正確に言うと以下の条件で
①正社員の人数が501人以上の会社で働いている
②月収が8万8000円以上である
③1年以上の雇用見込みがある
④週20時間以上働いている
⑤特定の学校に通っていない
これらの条件をすべて満たす場合にのみ親の社会保険上の扶養から外れ,健康保険料と厚生年金を払う義務が生じます。
(もうひとつの)130万の壁
もうひとりの僕みたいのが出てきました。これは106万の壁と同じく税法上の扶養ではなく社会保険上の扶養に関するものです。正確な条件は以下で
月々の収入が10万8334円以上になること(見込みの年収が130万円以上)
これを満たす場合に国民健康保険料と国民年金を払う義務が生じます。
ここまでくるとかなり厄介なので年収130万は超えないのが賢明でしょう。
家庭教師や内職の人が使える特例!!
さて,ここまで読んだ方,特に業務委託契約のバイトをしている方は思うのではないでしょうか。「業務委託契約ってめっちゃ不利じゃね?」と。
実際私も業務委託契約の家庭教師バイト,採点バイトをしておりずっとそれを感じていました。
しかし,給与所得控除の代わりに業務委託契約のバイトでも使える控除が存在したことをつい先日知ったのです!
それが
家内労働者等の必要経費の特例
というものです。
めちゃくちゃムズそう。こういうわかりづらい名前ほんと困ります。税金ってそういうとこある。
さて,この特例ですが,適用条件および控除額は以下のようになっています。
事業所得又は雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで(令和元年分以前は65万円。以下同じです。)認められる特例があります。
(注) 家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。
この家内労働者というものの解釈がなかなか難しいため,詳しくは所轄税務署に確認をしていただくのが良いと思われます。
しかしこの特例には背景がありまして,先ほどのように「同じようなバイトなのに業務委託契約ってだけでめっちゃ不利じゃね?」と思う人がいることを踏まえて,できるだけ公平になるようにということで作られたらしいです。
すなわち通常のアルバイトと同じような仕事であれば基本的に適用されるのではないかと個人的には思っています。(もちろん私は専門家ではないので参考程度にお願いします。)
この特例が適用された場合,控除額は以下のように
基礎控除48万+家内労働者等の必要経費の特例55万=103万
となり,雇用契約を結ぶバイトの場合に出てくる103万の壁と同じ効果を得ることができます。
※追記
家内労働者等の必要経費の特例が適用される職種で,適用した結果課税額が0となる(つまり合計103万以内に収まっている)場合,確定申告をしなくても大丈夫なようです。
私は念のため今年だけは確定申告しますが来年以降はしないつもりでいます。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
[確定申告]家内労働者等の必要経費の特例 - 税理士に無料相談ができるみんなの税務相談 - 税理士ドットコム
※2021 3/22追記
実際に2020年分の確定申告を特例を用いて行ったところ,無事認められ非課税となりました。(源泉徴収分も振り込まれた)
業務委託契約の家庭教師をしている方はご参考に!!
まとめ
今回は主に雇用契約を結ぶバイトと業務委託契約のバイトでの控除の違いに注目しながら,税金について大まかにまとめました。税金の話はとても細かく難しいですが,理解しておく必要性の高いものです。この記事が少しでも皆さんの理解への助けとなれば幸いです。
また,年末調整や扶養控除申告書についても以下の記事でまとめてあるのでぜひご覧ください!
それでは今回はここまで!最後までご覧いただきありがとうございました〜!